生霊

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「もう終わりにして」 「急に何言ってるんだよ」 「祐二おかしいよ。異常。もうついていけない」 「俺が何をしたって言うんだよ」 「はあ? そんなことよく言えるよね。自分のやったこと分かってないの?」 「彼氏として普通のことをしただけだよ」 「はあ? 普通の事? あれが?」 「彼氏として彼女が何をしているのか知ることは当たり前のことだろ?」  私と祐二は幼馴染。小さいころからずっと一緒に行動していた。周りからは付き合っていると思われていたけど、そういう関係じゃないって思っていた。でも祐二に彼女ができた時、物凄く寂しい気持ちになった。  だからその彼女と別れた直後、私から告白した。高校1年の冬だった。傷ついて壊れかけていた祐二にとって私の告白はその傷を埋めるのにちょうどよかったのかもしれない。  でも、付き合って2か月後、とんでもないことが発覚した。それは、前カノと別れた原因は、祐二の執拗な束縛だった。GPSで位置情報が分かるアプリを無断でインストールして常にどこにいるのか把握した。それで、祐二の知らない場所にずっといると、鬼のようなLINEと電話攻撃。男友達の連絡先を削除するように強要され、拒否すると浮気しているんじゃないかって疑う。場合によっては、その男にいたずら電話とか自宅の玄関に生ごみをまき散らしたりしていた。祐二だって証拠はないけど、状況からどう見ても祐二だと思うしかない。  そんなことが続いたためか、鬱気味になって別れたみたいだった。  サイコなことを平気ですることから、別れた後の報復が怖かったけど、すぐに私が告白したから、気持ちが私に向いて、その被害はなかったと私に感謝しているようだった。
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