無意識観念動力症候群の娘を自慢してくる父親

アルバムを開いて

これは娘が生まれたばかりの頃の写真だ。可愛いだろう？うん、可愛かったなー。
いや、今でも可愛いけど、ほんとにね、娘が生まれてきた瞬間というのはなにものにも代えがたい感動があるんだよ。ああ、父親になったんだなーっていうね。人生が変わる感じだ。娘によって、自分がまた生まれ変わった気がするんだ。

そしてね、娘はもう0歳の時点ですごかった。只者じゃなかったんだよ。無意識観念動力症候群が正式名称らしいんだがね。なぜ娘がそんな病気になったのかは分からない。私も妻にもそんな症状はない。親戚にもいない。君は娘の特殊な病に関して、もう知っているのだろう？社会生活をおくるためには、あの力は危険だ。娘本人がコントロールできないから、本当に病気と言っていい。体はいたって健康なんだがね。

0歳の生まれた時の写真は普通の赤ん坊が映っているだけだ。この写真ではね。でも、アルバムの次のページをめくってみてくれ。そう、ベッド周辺が大混乱。娘が泣くと皿もコップも割れまくり。特に、涙の感情は水を引き寄せるらしく水道の水も大量に出て水びたしになり、ひどいと近所のマンホールから水が飛び出すほどだ。水浸しの床に、皿やコップの破片、曲がったフォークに折れたスプーンにやぶれたカレンダー、粉々の書類の数々。まあ、写真で見えるとおりの惨状だったよ。

でもね、泣き止んだ後の表情が可愛いだろう？もう、この笑顔にやられてね。赤ん坊の笑顔ってのはそりゃ可愛いもんだけど、この大混乱の後だから余計に可愛く見えるんだよ。