2/4
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
 あばら家にはインターホンなどという立派なものなどなく「♪」のマークが書かれた簡素な呼び鈴が腐ったベニヤ板の壁にかかっているだけだった。押すと間の抜けた音がなった。役場の人間によれば、ここはもう何年も前に空き家になっている家のはずだという。  そうなると、ZONYは不法にこの場所に居を構えていることになる。立派な犯罪だ。決定的な瞬間を捉えられる。  集団の空気に異を唱える者は誰もいなかった。男たちの中の誰かによって、ドアは乱暴に蹴り破られた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!