漂流4日目

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言葉は通じないけど、久々に暖かい気持ちが胸に広がっていく。 陸に居た頃は業務的な会話ばかりで、冷え冷えとしたやり取りしか無かったもんなぁ。 案外、言葉なんてものは生きて行く上で不要なのかもしれないな。 すっかりお友達になれたルカを眺めて、そう口から零れた。 ーーゴロゴロゴロ。 うん、何の音だ? ドラム缶でも転がしてんの? この大海原で、まさかねえ。 もちろんそんな訳もなく、遠くに暗雲が立ち込めていた。 何やら「これから悪さします」と聞こえてきそうな程、漆黒の雨雲だ。 遠くでしきりに雷鳴を響かせながら。 気のせいかもしれないが、風も出てきたし、波もいくらか高くなってきたような……。 でもきっと大丈夫さ。 オレは不運を清算したばっかりだよ? 船が難破して太平洋で孤立してんのよ? これ以上災難が降りかかる訳ないじゃん。 強張った笑みで精一杯に虚勢を張った。     
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