45人が本棚に入れています
本棚に追加
「降りかかったァーーーーっ!!」
自分を奮起するために、腹の底から大声を発した。
声を出してないと気持ちがポッキリ折れそうになる。
というのも、絶賛大シケ中で、海は大いに荒れまくっていた。
波はテーマパークのアトラクションのように乱高下し、吹き付ける雨風は痛烈にオレの体を乱れ打ち。
雨粒ってこんなに痛いのかよ、まるで石でもぶつけられている気分だ。
板の上にあった諸々の物資が荒海に投げ出されていく。
でもそれに構っている余裕はない。
今にも振り落とされそうになる自分を支えるので精一杯だ。
「いつまで続くんだこれ! 人の迷惑も考えろよ!」
クレームだ。
オレを散々苦しめて胃を破壊した、現代社会の最強兵器だ。
もちろん手心が加えられるはずもなく、むしろ波を被った時に海水を飲んでしまう。
しょっぱい! 塩辛い!
反射的にのけぞりそうになるが、うっかり落ちてしまう訳にはいかない。
板の端っこまで這(は)いずって板の縁をガチリと掴んだ。
この時のオレをライブ中継でもしてたら、会場からは失笑が飛んだかもしれない。
それかバラエティ番組のワンコーナーだったら、こんな扱いだろうか。
Q、高波の不安定な状態で、板の端っこに移動するとどうなりますか?
A、ひっくり返ります。
最初のコメントを投稿しよう!