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漂流5日目
森は欝蒼(うっそう)と茂っていて、入るのをためらわせた。
どんな毒虫や野生生物が居るかわかったもんじゃない。
それでも砂浜をうろついてもどうにもならないので、こうして勇気を振り絞っている訳だ。
運良く流れ着いていた柵らしき鉄の棒を握りつつ。
特に襲われることもなく歩いていると、少しだけ開けた場所に出た。
そこで自分の目を疑ってしまった。
オレはツイてるのか、ツイてないのかよくわからない。
水や食料を探している最中に見つけてしまったのだ。
打ち捨てられた廃屋を。
入り口のドアは留め金付近の木が腐りかけていて、開閉に難があった。
中に入ると石畳が敷き詰められていた。
向かって左が台所で右が居住スペースという、2部屋に分かれているようだ。
中が妙に明るいのは気になり見上げてみて納得。
天井らしきものが一切なく青空が見えた。
それでもこの状況で壁があるだけ有り難かった。
初日で住居を確保できたのは大きい。
しかも海から離れていないのも高ポイントだ。
さて、この廃屋に使えそうなものはないかな?
うーん、戸棚らしきものの中は土埃しかないし、目ぼしい所には何もない。
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