漂流3日目

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漂流3日目

オレはひたすら後悔していた。 仕事が辛いのは皆同じのはずなのに、なぜあの時逃げ出してしまったんだろうか。 もう少しだけ耐え忍んでさえいれば、こんな悲惨な事にはならなかった。 きっとこれは天罰に違いない。 相変わらず降り注ぐ痛烈な日差し。 空は雲ひとつなく、雨を降らす所か陽が陰る事にすら期待できない。 水に飢え、腹を空かし、体に力が入らない。 とうとう身を起こす事すらできずに、板の上に四肢を投げ出すばかり。 今すぐ日本に、あの日常に帰りたい。 だがそんな願いは叶うことなく、刻一刻と体力を奪われていく。 オレの命は正に風前の灯火だった……。 ーーなんて事にはならず。 オレは今の境遇を全力で満喫していた。 飲料水として各種ドリンク、惣菜パンやらスナック菓子にチョコレート等も山ほど発見して、食料はバッチリ。 帽子があるから熱射病も平気だし、水中ゴーグルで海の中も楽しめる。 他にも娯楽として小説が何冊も手に入った上に、欲しかった作品まで運良く見つかった。 大好きなシリーズだったけど忙しくて読んでなかったやつだ。 ずぶ濡れだから乾かしてからじゃないと読めないが、贅沢は言ってられない。 しばし太陽のもとに晒す。 しばらくして。     
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