漂流4日目

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漂流4日目

「だからさぁ、オレ思うわけよ。会社って誰の為のものなのって! 社長や重役、株主やクライアント、それともお客様?」 「キュゥーー、キュッ」 「従業員の為でもあるんじゃないのって、だって大事な動力だよ? 中の人が居なくなったら経営なんてできないんだからさ。もう少し構成員も労るべきだと思うわけよ!」 「キュッキュー! キュウッキュー!」 オレは今、居酒屋トークをルカと楽しんでいた。 社会通念の批判と言えば聞こえば良いが、どこにでもある愚痴だった。 ルカはなんというか、とても賢い。 オレの心の動きを理解したようなリアクションをくれる。 ひょっとして共感もしてくれたりするんだろうか? 人間が知らないだけでイルカライフも大変だったりする? やれ、ボスがウザいとか。 やれ、メスに見向きもされないとか。 うーん、考えてみれば色々ありそうだ。 ごめんよルカ、一方的に愚痴っちゃってさ。 話し終わるとコミュニケーションタイムだ。 鼻先をオレの膝頭にツンツン押し付けてくる。 この合図は、ボールかな? ポンっと放ってやると、同じ高さで打ち返してくる。 それは驚くほど正確にオレの手に戻ってくる。 いや、ほんと賢い。 あと超絶かわいい。     
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