漂流1日目

1/4
45人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ

漂流1日目

この世に生を受け、流山タイキという名前を与えられてからの25年間、オレは平凡に生きてきた。 周りからは「タイキなのに大器じゃない」とからかわれたが、正にその通りだった。 偏差値50そこそこの高校を出て、大学は勉学よりもサークルや麻雀に明け暮れた。 就職先も滑り込みでようやく一社決まり、社会人三年目を迎えている。 今現在はというと、平凡な暮らしよりもいくらか低めの生活だろう。 それは勤め先が暗黒企業だからだ。 うちの会社は成果主義を謳っている。 だが肝心の評価システムが腐りきっている上に、成果主義特有のギスギス感だけがフルパワーで活躍しているという有り様だ。 本当に優秀で利益を生み出している人間は評価されず、世渡りの上手い人間が甘い汁を啜っていた。 「手柄は上司のお陰、失敗は部下の責任」というクソのような企業体質が環境悪化に拍車をかけている。 真面目で優秀な人間ほど早く退職し、自信の無いものやゴマスリ連中だけが残されていった。 それが作業の負担増につながり、結局離職者が増えるという悪循環。 半壊しかけたうちの部署は、断末魔の叫びをあげながら業務を遂行していた。     
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!