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私達は友達5人で出ると噂の山にある祠に向かった。車で2時間程度の所だ。
到着すると、車のライトで一瞬照らされた祠が見えた。
ハンドルを握る卓也がエンジンを止めて降りようとした時、ルームミラーを見ると、後部座席の真ん中に座る博史の様子がおかしいことに気がついた。
ルームミラー越しに見える博史の顔は、いつもの顔ではない。いや、今はまだ博史だとわかる。
しかし、みるみる獣のような顔になっていった。
例えるなら、狐のような顔つきだ。目は細長くつり上がり、口鼻がシュッととがった感じた。
「博史大丈夫か?」
助手席に座る私の目に飛び込んで来たのは博史ではなく、博史の体を持つ顔が狐の不気味な生き物だった。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉ。」
突然その不気味な生き物は、雄叫びとも取れる大きな声を出した。
そのまま隣に座る友達の膝の上を通り、自らドアを開けて外に出ていってしまった。
走り去る姿は四つ足で地面を蹴りまさに獣だった。
開け放たれたドアから、なま暖かい空気が車内に入り込んだ。まるで大きな獣が、ふーっと息を吹きかけてきたようなそんなように私は感じた。その時私の目に入った祠は、ぼんやりとした不思議な光を発していた。
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