第14話 一騎打ち

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(封印したとしても、置く所はクリント王のお腹の中よ。王が住んでいる場所は冷たい海の底よ。氷と相性の良い大魔女にとって、恰好の餌場だとは思わない?) (それは……そうですけど……) 恭華さんの言う事にも一理ある。 氷に関連する魔法だけだが『妨害魔法』を突破できるほどの魔力をエルフィナは兼ね備えている。 会った事はないがクリント王は北極海に住んでいる巨大なマッコウクジラだと聞く。 大魔女を無事、封印できたとしても氷の魔法を生かせば復活する事だって考えられたし再び、俺達の前に立ちはだかる可能性は充分に考えられた。 更に恭華さんの話は続いた。 (それに魂のみの封印だと難しいのよ。やはり、肉体が無ければね。でもさっき、幸臣が『魂の離縁』をしたからね。でも考えてみて。どうして彼は魂と肉体を分離させたのかしら?) 急な問いかけに俺は困惑しながらも考えてみる事にした。 だが、その答えは凛星の身体を見てすぐに気付いた。 (まさかっ!?) 俺の気付いた表情を見て、恭華さんは優しくほほ笑んでいるように見えた。 (そうよ。凛星ちゃんの魂を引き戻すのよ……あの中からねっ!) そう言いながら、恭華さんは鎌首を中央へと向けた。 俺も中央へと目を向けると、そこには横浜の公園で目撃したあの黒い靄が不気味にうごめいていた。 (見た事あるならお分かりのはずよ。あれが暗黒の渦よ)
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