第3話 尊敬か恋か

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でも私の心は複雑な心境だった。 だって、まだ師匠の事を本気で好きなのかどうか、自分でも分からないからだ。 只、好きという感情なのか、それとも只の尊敬という感情なのか…… そんな私に親身になって相談にのってくれたのが友達の早苗だった。 早苗にこの事を打ち明けてみると思いのほか、考え込んでしまったが、最後にはこう結論づけた。 「凛星。“尊敬”と“恋”の違いって何だと思う?」 「えっ?」 「“尊敬”はその人の為に役に立ちたい。その人の様な人になりたい。私はこれが尊敬の好きって意味だと思うの」 「それじゃあ“恋”は?」 「その人の為なら死ねる……それが“恋”なのよ」 ストレートな結論に私は呆然となったが、妙に納得できる所があった。 確かに師匠への胸のトキメキはある。 師匠の事が大好きだ。 でも、それは尊敬への表れであって、本気で付き合いたいとはまだ感じていないのだ。 だから、これは“尊敬”なんだ。 本気で師匠に恋してないんだ。 私はそう勝手に結論づけて、この事を忘れようと勉強に励むことにした。
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