第3話 尊敬か恋か

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皿洗いも漸く終わり、最後の1枚を片付けた。 「みんな、ご苦労さま。今晩もよろしくね」 私はそう言って、全ての魔法を解き、皿洗いは終わった。 でもトイレ掃除も任されていたので早速、掃除に行こうとした時だ。 ――カランコロン お店のドアが開く音が聞こえた。 ――お母さんが帰ってきたのかな? それにしては帰ってくるのが早すぎた。 いつもなら、買い出しが終わったら、夕飯の材料をしまいにスーパーから家に帰る。 そして再び、お店に戻って、仕込みの手伝いをする。 これで約1時間はかかるだが…… 時計はまだ30分しか経っていなかった。 とりあえず、お母さんじゃなかったら、丁重に帰らせようと思った。 厨房からフロントを覗いてみると、後ろ姿だが、男の人の様だった。 ご飯を食べに来たのかな? でもドアには『準備中』って札があったはずなんだけどなぁ。 「いらっしゃいませ。ごめんなさい。まだ準備中でして……」 そう言いながら、厨房からフロントへと出ていった。 だが、その男の人は私を見るなり、いきなり名前で呼んだ。 「凛星……」 私はその男の人を見て、愕然となった。 ――う、嘘でしょ…… どうして、ここにいるのよ…… 私はその男の姿に愕然となりながらも、そいつの名前を呼んだ。 「な、直也……」
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