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どうして直也がここにいるのか分からなかった。
あの事件以降、連絡はしていない筈なのに……
とりあえず、固まっていても仕方ないので私は直也を奥の壁際の席へと座らせた。
「はい。紅茶」
「お、おお」
直也は戸惑いながらも、出された紅茶を飲んだ。
「それで、何しに来たの?」
私はそう言いながら、椅子に座った。
「いや、お前が言ってたお父さんの店ができたから見に来ただけなんだ。凄いなぁ、資金も学費に当てたって聞いてたからさ」
――覚えていたとは珍しい。
以前、私は直也にお父さんの夢を話した事があった。
そして、その資金を大学の学費に当ててくれたことも。
でも私には懐かしい昔話にしか聞こえなかった。
「でもあんたはその後、そんなの関係ねぇと言わんばかりに私とセックスしたのよね……ゴム無しで」
直也は一瞬、固まってしまったが、すぐに言い返した。
「お、お前だって、喜んでたじゃないかよ」
――うっ!
直也の言葉に私は何も言い返せなかった。
悔しいが確かにそうだ。
あの後、私は失神するまで、こいつと夜通しセックスしまくったんだ。
その事に恥じ、何も言わなくなった私に直也は碌でもない話を持ちかけてきた。
「なぁ、凛星。今からヤリに行こうぜ」
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