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真田さんは只の肉体となった凛星の腕を掴むと、ナイフを取り出し、頸動脈の線に沿うようにして切り始めた。
「ちょ、ちょっとっ!?」
俺は慌てて、真田さんの方へと詰め寄ろうとしたが、恭華さんの尻尾がそれを阻んだ。
(安心して。これはある魔法を発動するのに必要な事なの)
(ある魔法?)
(このウサギさんのぬいぐるみにエルフィナの魂を入れるのよ)
(た、魂っ!?)
(ええ。私達は『憑依』と呼んでるわ)
恭華さんは俺に分かりやすい様に『憑依』の魔法について説明してくれた。
(まぁ、さっきも言ったけどエルフィナの魂にぬいぐるみを入れる。でも適合しないと意味が無い。だからぬいぐるみに凛星ちゃんの血が必要なのよ。一滴か二滴で適合できるはず)
(はず?)
最後の曖昧な説明に、俺は首を傾げた。
(実はこの魔法、初めてやるのよ。魂を扱うこと事態、初めてだからね。勿論、試した事がないから、成功するか否かは正直、分からないわ)
(ちょ、ちょっと待ってください。そんなんでいいんですかっ!?第一、この作戦の最終目的は封印ですよねっ!?例え成功したとしてもこれでは封印になりませんよっ!?)
俺は声を荒げながら、恭華さんに問い詰めた。
だが、彼女は至って冷静でこのまま封印しない訳を話してくれた。
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