第14話 一騎打ち

32/34
340人が本棚に入れています
本棚に追加
/790ページ
真田さんは只の肉体となった凛星の腕を掴むと、ナイフを取り出し、頸動脈の線に沿うようにして切り始めた。 「ちょ、ちょっとっ!?」 俺は慌てて、真田さんの方へと詰め寄ろうとしたが、恭華さんの尻尾がそれを阻んだ。 (安心して。これはある魔法を発動するのに必要な事なの) (ある魔法?) (このウサギさんのぬいぐるみにエルフィナの魂を入れるのよ) (た、魂っ!?) (ええ。私達は『憑依』と呼んでるわ) 恭華さんは俺に分かりやすい様に『憑依』の魔法について説明してくれた。 (まぁ、さっきも言ったけどエルフィナの魂にぬいぐるみを入れる。でも適合しないと意味が無い。だからぬいぐるみに凛星ちゃんの血が必要なのよ。一滴か二滴で適合できるはず) (はず?) 最後の曖昧な説明に、俺は首を傾げた。 (実はこの魔法、初めてやるのよ。魂を扱うこと事態、初めてだからね。勿論、試した事がないから、成功するか否かは正直、分からないわ) (ちょ、ちょっと待ってください。そんなんでいいんですかっ!?第一、この作戦の最終目的は封印ですよねっ!?例え成功したとしてもこれでは封印になりませんよっ!?) 俺は声を荒げながら、恭華さんに問い詰めた。 だが、彼女は至って冷静でこのまま封印しない訳を話してくれた。
/790ページ

最初のコメントを投稿しよう!