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~渦の中に潜む魔物~
うごめく渦をジッと見つめていると、三上さんの目が開いた。
(気が付いたようね)
俺は三上さんの背中を支えながら起き上がらせた。
「え、エルフィナは?」
「壁の中だ。今の所、問題なく進んでいる」
「そうか……上……出来だ」
「ちょ、三上さんっ!」
三上さんはフラフラと目を閉じようとしていたので俺は慌てて、身体を大きく揺らした。
「だ、大丈夫だ。只、ちょっと……血を流し……過ぎただけだ」
三上さんの傷はもう既に癒えていた。
だが、流れ出た血は戻すことはできない。
それでも三上さんは俺を落ち着かせた。
「大丈夫だ……坊や。全て……上手くいってる」
終始、強がってる三上さんではあるが再び目を閉じてしまった。
「三上さん……三上さんっ!!」
俺は三上さんを強く揺さぶった。
すると……
「やった……やったぞ……目が……見える……見えるぞォォォォッ!!!」
遠くから歓喜の声が上がった。
声の方へと向いてみると、そこには田代拓磨が喜びながら、飛び跳ねていた。
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