第15話 暗黒の渦

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一体全体、どうなってるのか分からなかった。 だが、俺の目に写っていたのは目が見えて、喜んでいた拓磨の姿だった。 (起きていたのね。ったく、面倒くさいな) 恭華さんは愚痴をこぼしながらも、尻尾の先端を鈍器代わりにして後ろに忍び寄った。 そして、喜びのあまり全く気付いてない奴の頭を強く殴り、拓磨は再び気絶した。 (幸臣。始めましょ) 恭華さんはそう言った瞬間、気絶した筈の拓磨がまたもや起き上がり始めた。 ところが今度は様子が違っていた。 先程の喜びで舞い上がる様子はなく、至って冷静な表情で辺りを見渡した。 そして、俺達を見つけるとこちらへ向かって走り出した。 俺は警戒して前に出ようとしたが、その前に拓磨が喋った。 「待て、俺だ。三上だ」 「えっ?」 「今、俺の身体は血が足りなく、自由に動けない。だから、拓磨(こいつ)の意識を乗っ取って身体を借りてる。しかし、2回目とはいえ、こいつの身体はクズの臭いがして気分が悪いな」 「2回目?」 「1度目は外でエルフィナに刺された時だ。こいつは失明しているからすぐにバレる恐れがあった。だから意識を乗っ取って目を開かせる必要があった。とはいえ、初めての魔法だからな。成功するかヒヤヒヤしたわ」 三上さんは軽く笑うと、気合いを入れ直す為に頬を強く叩いた。 「よしっ!では最後の戦いへと参ろうか」
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