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三上さんはまず、恭華さんと真田さんに指令を伝えた。
「真田。引き続き、作業をの方をよろしく頼む」
「はい。任せておいてください」
「恭華。照明弾の光が合図だ。それを見たら切り札を使え」
「了解」
「ちょっと待ってください。照明弾とは一体……」
俺が間を入って三上さんに聞くと、彼は黙って暗黒の渦の方へと指をさした。
「あの中に入り、凛星を連れ戻す」
「連れ戻すっ!?」
「そんなに驚く事ないだろ。凛星を助け出すにはこれしか方法がないんだから。『魂の離縁』という超強力な魔法を使ったのも渦を呼び出す為だ」
「でも聞いた話だと暗黒の渦って、巻き込まれたら二度と戻って来れないんじゃないんですかっ!?」
「そうだ。だが、この世は結局、等価交換の世界だ。理論上では俺の精神と凛星の魂の同等の何かを差し出せば暗黒の渦は大人しく消える」
「何かとは……」
三上さんは拓磨の胸に手を置いた。
「俺が適当にこいつを選ぶと本気で思ったか?こいつの俺達に対する憎しみ、怒りは噴火寸前だ。暗黒の渦にとっては美味しいご馳走にしか見えない。そうなれば凛星を救い出す事ができるし、俺も精神を奪われる必要がなくなる」
「はぁ……」
「つまり田代拓磨はやっと人の為に役に立つ事ができるのだ。俺達の生贄としてな」
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