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三上さんが暗黒の渦の中へと入ってから既に5分が経過しようとしていた。
依然として、渦は俺達を嘲笑っているかの如く、うごめいていた。
一方で真田さんはエルフィナの魂をウサギのぬいぐるみに入れる為に壁の方へと歩いて行った。
俺と恭華さんは暗黒の渦を見ながら、三上さんの合図を待っていた。
(緊張してるの?)
恭華さんが暗黒の渦を見ながら、俺に話しかけてきた。
(えっ?いや、そんな事……)
俺はふいに嘘をついてしまったが、声が裏返ってしまった。
(フフフッ、いいのよ。私だって怖いんだから)
(恭華さんも?)
(暗黒の渦はそんな頻繁に出るものではないの。人の憎しみと怒りの匂いを辿りそれを糧にして、果てはその人の精神もを吸い尽くす。それが“暗黒の渦”)
(だから巻き込まれないようにしないように細心の注意が必要なんですね)
(ええ、そう。魔法は体力と憎しみを魔力として使うから、強大な魔法を使えば憎しみを存分に使ってしまう。しかもその憎しみは消えることなく、代わりに良心が消える)
(そして、憎しみの匂いを嗅ぎ分けて暗黒の渦がやって来る……結局、最後には巻き込まれてしまう運命なんですね)
(そう思う?)
(えっ?違うんですか?)
(もし暗黒の渦から逃れられる唯一の方法があるとしたらどう?)
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