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暗黒の渦から唯一、逃れられる方法……
(そ、それは一体……)
(簡単よ。作っちゃえばいいのよ)
(作る?作るって何を?)
(それはね、良心よ)
……りょ、良心?
予想だにしていなかった答えに俺の目は点となり、返す言葉すら思い浮かばなかった。
(要するに優しささえ忘れずに、善意ある行動をし続ければ暗黒の渦はこちらから寄って来ないって事よ。奴は善意を食べないからね)
(つまり……ゴミ拾いをすれば逃れられると?)
(簡単に言えばそうよね。でも私達はそれ以上の事をしなくてはならない。例えば私は実業家をする傍ら、収入源のほとんどを孤児院に寄付してる)
(寄付……ですか)
(言っとくけど、渦に逃れたい為に慈善事業をやってる訳じゃないからね。実際に子供達に会いに行って勉強を教えたり、遊んだりして凄く楽しいわよ。今度、皆で遊びに行きましょうよ)
(えっ?ああ、はい………って事は三上さんも?)
俺は三上さんについて聞き出そうとした。
俺のしる限り、あの人からは冷血漢しか浮かんでこなかったからだ。
凛星から三上さんの事を色々聞いた。
ところがいざ、実際に会ってみれば平気でヤリサーメンバーを前に痛めつけたのにも関わらず、再び痛めつけ、更には何の迷いもなく生贄にする冷徹な男だった。
ところが恭華さんから聞かされた話は全く、違っていた。
(幸臣はね……夕凪市に貢献しつづけた。銀行員としてね)
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