第15話 暗黒の渦

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(幸臣が来る前、夕凪(ここ)は汚物に塗れた酷い街だった。でもそれを彼は銀行員として、街の発展に尽力し続けた。率先して融資先に行ったり、融資ができるようにできる限りの協力や助言などを惜しまなかった。勿論、犯罪者共にも容赦しなかった。強盗が起きるとそいつの足下にワームホールを作って警察署の前に落とした。そうした彼の努力が実を結び、夕凪(ここ)は住み良い街へと変わった) 恭華さんの話に耳を疑うばかりであった。 だが、凛星から聞いた話と比べてみると違和感がなかった。 恐らく、冷血漢の一面はクズ共にだけ見せるのであって、一般人には優しい人なのかもしれない。 (湊くん。周りから酷い仕打ちを受けた者がある時、非現実的な物を手に入れた時、真っ先に考える事がそいつらに復讐する事でしょ。でも復讐を果たしたらどうする?復讐が終わったら、待ってるのは虚無感よ。虚無に襲われ、しばらくは食べ物も喉を通らない有様よ……そして何日か経って、2つの選択肢に挟まれる。暗黒の渦に飲み込まれるか……この力を困ってる人の為に生かすか……) (困ってる人の為に……) (凛星ちゃんはどっちなんだろうね)
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