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いきなりの出来事に私は困惑したが、師匠は謝る理由を話してくれた。
「お前の憎しみがあれほど、膨大だとは予想もしていなかったよ。そうさせた俺のせいだ。許してくれ」
「でも、どうして人体自然発火なんか」
「憎しみの量が膨大になればなるほど、その分の効果も大きい。今回はサークルのメンバーに凌辱された思い出だけをお前は思い出した。そのせいで奴らに対する憎しみが増してしまった。しかし、それを上手くコントロールできずに自然発火を起こしてしまったんだ」
私はとりあえず、納得していたが、まだ腑に落ちない点があった。
「身体が自然発火したのなら、火傷の痕がある筈なのですが……」
「発火してすぐにお前の身体から火を引き離したんだ。移した火は俺が上手く捨てといた」
「それでも、服が燃えてないのはおかしいです」
「燃えていた方が良かったのか?」
師匠はわざと下心丸だしの笑みをこぼした。
「い……いえ……」
「ご両親には連絡しといた。無論、お前の友達に変身してな」
「ありがとうございます。あっ、そういえば真田さんに出会いました」
私は兄弟子である、真田さんの事を話した。
するとさっきまで笑っていた師匠の顔から笑みが消えた。
そして、いつしか顔が険しい顔へと変わった。
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