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「師匠……できた……できちゃった」
私は驚いた顔のまま、師匠の方を向いた。
「あ、ああ……見てるよ」
師匠も目を丸くして驚いていた。
……できた。
初めてできた。
「いよっしゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」
私は喜びのあまり、両手を天井に掲げた。
そして、手のひらで燃え上がってた炎を花火へと変えてみせた。
花火は一気に室内に舞い上がった。
それはまるで私を祝っているかのようにみえた。
ところが師匠は、カンカンに怒っていた。
「バカ野郎っ!!狭い部屋で花火なんかするなっ!!!」
師匠は慌てて部屋の中心に立ち、大きく手を叩いた。
すると室内に飛び散った花火が一斉に花びらへと変わった。
ひらひらと舞う花びらはとても美しかった。
でも師匠は荒い鼻息をたてて、私をギロリと睨みつけていた。
私はその目を見るのが怖くて、床下を見ながら小さな声で謝った。
「ご、ごめんなさい」
「……ったく」
師匠はそれ以上は怒鳴ることなく、床に散りばめられた花びらを全て浮かせた。
そして、浮かせた花びらを、ごみ袋を口に掴んで待機していたエリックに向けて飛ばした。
エリックは飛んでくる花びらを見事にごみ袋の中に入れた。
部屋をあらかた片付けると、師匠は最後に私に言った。
「二度と部屋の中でするな」
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