343人が本棚に入れています
本棚に追加
魔法使いの弟子になって、4週間が経過しようとしていた。
中級魔法も順調にマスターしていき、残るは上級魔法のみとなった。
上級魔法は魂と肉体を離す極めて難しい魔法が多数、存在していた。
ところが、ここにきて、新たな問題が浮上しだした。
魔法云々の話ではなく、とても身近な問題だ。
「凛星。お前は覚えが早い。残るは『幽体離脱』や『意識の招待』などの魂や意識を肉体から引き離す魔法だ」
「はい。では師匠、お教えお願いします」
「待て待て。まずその前に一つ確認したい事がある」
「な、何でしょうか?」
「お前、ちゃんと寝ているか?」
師匠は自分の目の部分に人差し指を当てながら、私の目の隈を指摘した。
「ね、寝てますよ」
「師に嘘をつくな。本当は寝ていないんだろ?」
私は師匠のギラりと光る眼差しに負け、首を縦に振った。
「……はい」
確かに最近は寝ていない。
理由は単純に自習だ。
勿論、大学の勉強ではなく、魔法の勉強だ。
魔法の勉強は実に楽しくて、1つ習得すれば達成感よりも、また1つ習いたいと欲を出してしまう。
最近ではそれが深夜遅くまで続いた。
それを師匠はすぐに見抜いていた。
最初のコメントを投稿しよう!