第2話 集中力と根気と一粒の憎しみ

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魔法使いの弟子になって、4週間が経過しようとしていた。 中級魔法も順調にマスターしていき、残るは上級魔法のみとなった。 上級魔法は魂と肉体を離す極めて難しい魔法が多数、存在していた。 ところが、ここにきて、新たな問題が浮上しだした。 魔法云々の話ではなく、とても身近な問題だ。 「凛星。お前は覚えが早い。残るは『幽体離脱』や『意識の招待』などの魂や意識を肉体から引き離す魔法だ」 「はい。では師匠、お教えお願いします」 「待て待て。まずその前に一つ確認したい事がある」 「な、何でしょうか?」 「お前、ちゃんと寝ているか?」 師匠は自分の目の部分に人差し指を当てながら、私の目の隈を指摘した。 「ね、寝てますよ」 「師に嘘をつくな。本当は寝ていないんだろ?」 私は師匠のギラりと光る眼差しに負け、首を縦に振った。 「……はい」 確かに最近は寝ていない。 理由は単純に自習だ。 勿論、大学の勉強ではなく、魔法の勉強だ。 魔法の勉強は実に楽しくて、1つ習得すれば達成感よりも、また1つ習いたいと欲を出してしまう。 最近ではそれが深夜遅くまで続いた。 それを師匠はすぐに見抜いていた。
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