第2話 集中力と根気と一粒の憎しみ

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師匠はそんな私にため息をつきながらも、優しく話しかけた。 「あのな凛星。楽しいのは痛い程、分かる。かつての俺もそうだった。もっと魔法を極めたいと仕事をサボった時期もあった。しかし、焦りは禁物だ。寝るのも勉強の内なんだぞ」 「分かってますよ」 「その顔は分かってないな……それに大学の勉強はどうした?」 「も、勿論、やってますよ」 実はやっていない。 ここ数日は魔法の勉強にほとんどを費やしていたからだ。 勿論、師匠には全てお見通しだった。 「嘘つくな……だが、これは深刻な問題だな……よしっ!」 師匠は何かを閃いたのか、デスクから立ち上がった。 「行くぞ。課外授業だ」 「どこに行くんです?」 「サンシャイン国立医療センターだ」 「ちょっと、そこって……」 「そう。花木が入院している病院だ」 師匠は私に向かって、手を伸ばした。 「『移動魔法』は初めてだな?」 「はい」 「大丈夫だ。俺の手を握っていればすぐに終わる」 師匠は自信を持って言った。 私は恐る恐る、師匠の手を握った。 すると足下から徐々に消えていった。 若干、怖くなったが師匠を信じようと、必死で彼の手を強く握りしめた。
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