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「本当にこの女なの?」
俺のオフィスで凛星と直也のセックスを見ながら、不満気に恭華が聞いてきた。
K県の指定都市とされている夕凪市。
そこのオフィス街の中心部に一つの大型銀行がある。
東亜産業銀行 夕凪西支店だ。
そこの支店長室で俺は稟議書と睨めっこしながら恋人である恭華の質問に答えた。
「ああ。彼女だ」
「もうお分かりかもしれないけれど、この女、ビッチよ」
駅前のラブホの1室を写したテレビを見ながら、恭華は蔑むように言った。
「言われなくとも知ってるさ。だから君に頼んでいるんじゃないか」
「『心変わり』でしょ。あれを取得してるの私ぐらいだもんね」
「そうだ。俺とあの娘が会う前に、今の現状が嫌になるようにしてほしい。成功したら、君が計画している2号店を考えてやろう」
「融資の確約はその場ではできないんじゃなくて?」
「だから、考えてやろうって言ってんだ。それでやるのかやらないのか?」
「やりますよ。しかし問題は彼女の快楽よ。イヤになっても快楽は忘れられないわ。そこはどうするつもり?」
「簡単だよ。性の快楽よりも強い刺激を与えてやるのさ」
そう言って、俺は手のひらを上にのせて、そこから小さな炎を出してみせた。
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