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そんな教授の口が無いことを良いことに師匠は彼を馬鹿にし始めた。
「ほぉら、前よりもずっと色男になったぞ」
師匠は手から鏡を出現させると、それをわざと教授に見せつけた。
勿論、この不可解な現象に教授は暴れ始めた。
「むーーっ!!んーーっ!!!!」
教授は暴れながらも、すかさずナースコールを押そうとしていた。
それを私は指パッチンで、教授の手足を膠着させ、身体の自由を奪った。
「上出来だ」
師匠はニコリと笑って褒めてくれた。
「私も散々、こいつに弄ばれましたからね」
「だが、今回は復讐の為に来た訳では無い」
「えっ?」
唖然とする私をよそに、再び教授の方へと向きを変えた。
「いいか?これは取り引きだ。お前の骨を治してやる。心因性も治り、すぐにでも退院させてやるぞ」
「師匠っ!」
私はつい声を上げた。
しかし、師匠は後ろ姿のまま手を少し上げ“落ち着け”と宥めた。
許そうとしているのか、それとも何か意図があるのか。
ともかく、師匠が何を企んでいるか分からないまま、師匠は教授と話を続けた。
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