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「但し、治してやる代わりに彼女……知ってるよな。お前のつまらん授業している間、静かに寝させる権利をあげろ。無論、単位は下げるな。寧ろ、上げろ。分かったな」
「師匠……」
師匠の取り引きに教授は何か言いたそうに、微妙に身体を動かしていた。
「言っとくがお前に権限はない。お前はバカな男子学生どもと取り引きして、幼気な女子学生を食い物にしたその報いだ……本来なら生き地獄を味あわせてやりたいところだが、彼女の睡眠の為に生かしといてやる。だがもし、喋ったり、約束を破ったりしたら、魔法を使わなくてもお前を破滅させることができるからなっ!」
師匠は追い打ちをかけるように、内ポケットから何枚かの写真を教授の顔面めがけて、投げつけた。
それは私以外のヤリサーの女子学生と密会していた時の写真だった。
教授はその写真を見るなり益々、恐れ慄いてしまい結果、プツンと気絶てしまった。
そして、師匠はとどめの最後として、教授の耳元に近づいた。
「この写真を見せる女性第一号はお前の女房だ」
一番、ダメージの効く一言だが、気絶しているのだから意味がない。
「気絶してるから、無理ですよ」
「頭に刷り込んどいた。お前に歯向かおうとしたら嫌でも今日の事を思い出すだろう。つまり、これで奴はお前の言いなりだ」
そう言って、師匠は教授にかけた魔法を解き、病室を出た。
花木は気絶していたが、白目を剥き、情けなく泡を吹いた無様な顔を晒していた。
私はその顔を目に焼き付けながら、病室を後にした。
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