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師匠は沈みゆく夕日を見つめながら、夕凪市の事を語ってくれた。
私はそれを聞いてるうちに、笑みがこぼれた。
師匠がこの街を熱く語る様はとても、清々しいものが感じたからだ。
この人は本気でこの街を思ってくれている。
住民の幸せを本気で考えてくれているんだ。
そう思った矢先、今度は胸の高鳴りが熱くなった。
心臓の鼓動が鳴り響き、師匠の顔を直視できないようになった。
「どうした?」
「えっ?」
私が顔を背けてばっかりいたのか、師匠が心配して声をかけてきた。
「な、何でもないです……もう、中に入りましょう」
既に夕日は沈み、星が光を見せ始めた。
しかし、夜風が当たって寒くなってきた。
それなのに、私の身体は不思議と寒くなかった。
むしろ、暑すぎた。
「……そうだな」
師匠は『移動魔法』の為、私に手を伸ばした。
私は彼の顔を見ないようにしながら、ゆっくりと手を握った。
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