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その人物とは恋人の恭華だ。
彼女も俺と同じ魔法使いで今、諸事情でロンドンにいる。
――この時間帯なら、起きてるだろう。
俺は机に置いてあったスマホを俺の右手へと呼び寄せた。
机から飛んできたスマホをキャッチすると早速、恭華に連絡をとった。
「あら、おはよう」
「ロンドンでは朝か。おはよう」
「エリックは元気?」
「ああ、今、ご飯を食べてるところだ」
「そう……会いたいわ」
「エリックにか?それとも俺か?」
「フフフッ、両方よ」
どっちつかずな答えに俺は苦笑いを浮かべた。
毎回、「俺とエリックどっちか好きか」と質問すると、彼女は必ず「両方」と言って、ほくそ笑むのだ。
「相変わらずで何よりだよ」
「それでどうなの?ビッチのレッスンは上手くいってる?」
「その呼び方はよそう。凛星はもうビッチじゃない」
「あら、ごめんなさい」
「レッスンは順調にいってるだが……」
俺は言葉を詰まらせてしまった。
それを遠くロンドンにいる恭華がすぐに察知した。
「何やら、問題があるようね」
「そうだ。少々、厄介な問題だ」
俺はその事で彼女に相談しようと連絡したので、包み隠さずに話すことにした。
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