第2話 集中力と根気と一粒の憎しみ

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「それで、どんな問題なの?」 「成長が早すぎる」 「あら、それはいい事じゃないの?」 「そうだな。本来なら喜ばしい。しかし、あの娘の前世の事を考えると、妙な胸騒ぎがするんだ」 「……そうよね」 凛星は魔法を覚えるのが著しく早く、飲み込みも早い。 凄腕の魔法使いでさえ、一ヶ月はかかる中級魔法を、あの娘は僅か3日で取得した。 “天才”と言えば、それで全てが丸く収まる話なのだが…… しかし、俺が懸念している問題はこれだけではない。 「他にもあるんだ。彼女の憎しみが制御できずに人体自然発火を起こしたんだ。何とか肉体と炎を引き離すことには成功したんだが……」 「火傷がなかったの?」 「それどころか、衣服すら燃えていなかった」 「つまり……前世の魔法使いがあなたの弟子を守った」 「結論からして、そういう事になる」 「前世の魔法使い……いや、この場合は魔女と言うべきね」 「ああ、最強にして最悪。赤き竜を召喚させ、大英帝国を震撼させた“闇色の魔女”」 エルフィナ・ドラグル・ルーベルト
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