342人が本棚に入れています
本棚に追加
「それで、どんな問題なの?」
「成長が早すぎる」
「あら、それはいい事じゃないの?」
「そうだな。本来なら喜ばしい。しかし、あの娘の前世の事を考えると、妙な胸騒ぎがするんだ」
「……そうよね」
凛星は魔法を覚えるのが著しく早く、飲み込みも早い。
凄腕の魔法使いでさえ、一ヶ月はかかる中級魔法を、あの娘は僅か3日で取得した。
“天才”と言えば、それで全てが丸く収まる話なのだが……
しかし、俺が懸念している問題はこれだけではない。
「他にもあるんだ。彼女の憎しみが制御できずに人体自然発火を起こしたんだ。何とか肉体と炎を引き離すことには成功したんだが……」
「火傷がなかったの?」
「それどころか、衣服すら燃えていなかった」
「つまり……前世の魔法使いがあなたの弟子を守った」
「結論からして、そういう事になる」
「前世の魔法使い……いや、この場合は魔女と言うべきね」
「ああ、最強にして最悪。赤き竜を召喚させ、大英帝国を震撼させた“闇色の魔女”」
エルフィナ・ドラグル・ルーベルト
最初のコメントを投稿しよう!