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炎の聖女と千剣の少女
頭に衝撃が加えられて瞼を開くと、アイネは尻尾の方をずっと見ている。
閉じそうな瞼を無理矢理開けてアイネと同じ方を見ると、拾った女性が旗の付いた槍をこちらに向けていた。
「貴女に問います、そのドラゴンと仲間なのですか」
「仲間と言うより、生贄ですね私は」
「やはり、今すぐこちらに来て下さい。本当にドラゴンが存在するだなんて」
女性とこちらに生じている温度差に、アイネはもはや聞いてすらいない。
「大丈夫ですよ、生贄の私の痣や傷を治して服までくれたお人好しですから。あ、食べる度胸が無いだけかも知れませんが」
「おぬしは突然毒舌になったな」
「わざとですよ、アイネさんは好きですからね」
「そうか、私がおぬしの親を喰ろうておってもか?」
「それはどうでしょう」
人型になったアイネに、女性は槍を構えて踏み込む。
足下から振り上げられる槍に、服の裾を掠め取られたアイネは、飛び退きざまに女性の足下を抉って動きを封じる。
「やはり貴様は人を喰らう邪竜」
「血気盛んじゃな、本当に若くて羨ましい限りだ」
勝手に動いていた私の体が、着地した瞬間のアイネに飛びかかり、首を両手で絞めて地面に叩き付ける。
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