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愚かな種族
漸く目的の街であるダイトに到着したが、想像以上に酷い状態だった。
人の顔に生気は無く、下を向いて歩く人ばかりとすれ違う。
大きな街と言う事で期待をしていたが、それは見事に打ち砕かれた。
街の入口で三人でアイネを待っていると、難しい顔をして帰って来た。
「この街もか、本当に愚かな種族だな。同族同士で殺し合うなど」
「ドラゴンだってよく縄張り争いをすると聞きますよ、同じレベルじゃないですか」
「おぬしらみたいに殺し合う訳では無い、過激派はそうもいかんがな。少なくとも我々は遊ぶ時だけだ」
「ドラゴンの遊びで山がひとつ消されてたら人間も困るんですよ、動物たちも住処を追われるんですから」
言い合いをする私たちを、ジャンヌは微笑ましそうに見ている。
少し恥ずかしくなった私は、もう一度街を見回してわざとらしく露店に駆け寄る。
遅れて隣に並んだジャンヌに髪飾りを見せると、アリスがジャンヌの背中に飛び込む。
「痛いですアリスさん、私は藁人形じゃないですよ」
「沢山ジャンヌみたいな格好の人が来たよ」
街の入口に振り返ると、度々村に来ていた騎士が持っていた旗と同じ旗を掲げている。
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