望まれない命

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小さい時に一緒に遊んだ男の子が教えてくれた、ウェディングドレスと言う綺麗な衣服を着てみたい。 あの日地面に描いてくれたウェディングドレスは、とても可愛くて綺麗なもので、見た日以来糸を紡いで布を作っては、それっぽいものをこつこつ作っていた。 死んだお母さんとお父さんが遺してくれた唯一の家は、生贄になる前日に壊されてしまった。 その時にドレスも燃やされてしまったし、帰る場所も無くなってしまった。 夢を見ていた私が馬鹿だったのか、見せたあの男の子を恨むべきか、どうせ無駄になる事を私は考えて道を進む。 逃げた所で行く宛も無いし、見つかれば殺されてしまうかもしれない。 木が無くなって湖が広がる広場に出ると、大量の紅い魚が宙を泳いでいる。 最期くらい体を綺麗にしようと思って服を脱ごうとすると、背後で轟音が響いて木が倒れる。 木を薙ぎ倒した主は想像以上に大きく、昔男の子に教えて貰ったドラゴンと、特徴が完全に一致していた。 大きな体に大きな牙、木よりも太い爪に家よりも大きな翼。 圧倒的なまでの威圧感にも関わらず、私の体はもう怖いと言う本能すら働いてくれない。 「貴女が神様?」 ドラゴンはゆっくりと私に近付くと、全身を大きな瞳で見る。 「神ではない、この世界の守護者の一柱」     
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