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丘とあなたと夜空と私
三人で誓ったものの何から始めて良いのか分からず、取り敢えずアイネが取っていた宿のベッドで会議をする。
一番の戦力であるアイネはどこかに言ってしまったし、アリスは既に寝る寸前で参加してすらない。
結局良い意見も出ず、ふたりとも知らない間に眠っていた。
上体を起こすとアイネが机に向かって、何かを削る様な音を立てて作業をしていた。
「アイネさん?」
ビクッとして顔を上げたアイネは、私を見てからまた机の方を向く。
「どうした」
「いえ。何をしてるのですか」
「身を守る物を作っている」
「人を傷付ける物ですか?」
溜息を吐いたアイネは、手に持っていた塊を私に見せる。
「これは私の爪だ、削れば刃にもなる。今は戦争の真っ只中だ、これくらい持たなければおぬしが倒れる事になる」
「私にはアイネさんが居ます」
「私ではどうしようもない時くらいある、自分の身は自分で守るのが基本だ」
そう言ってまた作業を始めたアイネの隣に座って、机に突っ伏して肩を寄せる。
嫌がる事もなく作業を続けるアイネの顔を見ると、しっかりと目が合う。
「今宵は随分と愛嬌があるのだな、村が恋しくなったのか?」
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