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アリスは全く気に留めておらず、ジャンヌが落とした籠を拾い、中に入っていたパンを椅子に座って食べている。
「クライネさんアイネさんが」
下から聞こえたジャンヌの声を無視して、アリスからパンを受け取って口に運ぶ。
暫くしてふらふらとした足取りで帰って来たアイネに、アリスがパンを渡す。
「有難うアリス。あやつみたいになるでないぞ、おぬしはそのままでえい」
「もう一回飛びます?」
「眠気が飛ぶどころか意識が飛ぶところであったわ」
「分かったのでやめて下さい。クライネさんもアイネさんも」
ジャンヌに怒られたアイネはやけに落ち込み、出ていた翼をぐったりとさせる。
アリスは人参をそのまま齧っており、全くこの状況でも動じない。
「分かりましたジャンヌさん。次からは足から落とします」
「素直じゃないのは駄目ですよクライネさん。アイネさんくらい落ち込まなくても良いですけど」
「はーい」
「もう。神はいつでも許して下さいます、いつでも良いので反省して下さい」
窓を閉める拍子に空を見上げると、黒い雲が街に入ってこようとしていた。
これから雨と雷が酷くなるなと、憂鬱な気分になりながら窓を閉める。
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