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午前一時半。
眠れない私は天井をぼーっと見つめながら、お気に入りの毛布に包まっていた。
深夜アニメの録画のためか、大金をはたいて買ったレコーダーがたちあがる音がした。
ウィーーーーーーーーーーーーーン。ピピッ。
(今期のアニメ、チェック出来てないな…)
録りためた動画たちが泣いてる。
ああ、ごめんよ。明日は仕事なんだ。
涙を飲んでギュッと目を瞑る。
…が、またパチリと目をあける。
どうにも眠れない。
(そりゃそうか…)
理由は分かっている。
まるで、それはおとぎ話の出来事のようだった。
今。
この瞬間、この時が夢の中でないなら。
今日あったことは、一体全体なんだったのだろうか。
1人で悶々と頭の中で考えていても仕方がない。
吐き出さないといけない。
心が壊れる、その前に。
私は意を決してのろのろと手を動かし、絶賛充電中のスマホを探り当てる。
手に取り、おもむろに、エブリスタにログインする。
『初めまして、みなさん。今日、私は大変な経験をしました。まるで漫画やアニメのような話に見えるかもしれません。でも、本当にあったことなんです。そう、それは…』
「突然の、こ、と、でし…たっととと!」
たどたどしいフリック入力で手元が狂う。
滑る指。落ちるスマホ。
「ぐぇっ!?」
私は顔面で科学の重さを確かめた。
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