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「年明けたら、家庭部でアイスクリームパーティするわよ」  歩きながら唐突に小夜が言った。 「パーティ?」  春人はようやく小夜の横に追いついて聞き返す。彼女は歩くのが早い。 「部費が余ってるの。作りたいフレーバーを考えておいて」 「冬なのにアイスクリーム」  独り言を言っただけなのに小夜は諌めるように春人を見てくる。 「アイスクリームに季節は関係ないでしょ」 「はい……」  なにも反論できない。ちょっと怖い。  アイスクリームのフレーバー……春人は考えたけれどバニラしか思い起こせない。どうしようかなぁ、と困る。チョコレート……でもチョコレートも、あまり変わり種って感じがしない。 「ハニー・レモンとポッピングシャワーは決まってるから」  小夜が付け加えた。うわぁ絶対ミチルも来るってすぐ分かった。  ちょっと反撃のつもりで質問してみる。 「ポッピングシャワーは飽きたんじゃないの」 「うるさい」 「はい……」  小夜の横顔は言葉とは裏腹に少しだけ微笑んでいるように見えた。  そういえばミチルの誕生日に甘いものを贈ろうと思っていたということを不意に思い出す。それで小夜に相談したかったんだ。あの時はできたらなあという願いだったけれど今なら叶えられそう。すぐに言葉にしたくなった。もう彼の誕生日は終わってしまったけれど、できるだけ早いうちに贈りたい。 「小夜ちゃん……あのね、相談が、あるんだけど」  なあに、と小夜はいう。 「あとでもいい? あまり時間がないから」  分かった、と春人は言った。  ところで自分たちはどこに向かっているんだろう? 初めにそれを聞くべきだった。アイスクリームのフレーバーの話をしている場合ではなかった。
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