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「え? それを見に来たんですよ~」
笑顔で斧を振り下ろしたヨルムは、足の鎖を断ち切って一息つく。
地面に座り込んで街で買ってきたであろうお茶を飲んで、ほっこりとした時間をひとりで過ごす。
「はぁ~」
「はぁではない、早くこの頭の悪いくらい太い鎖を斬ってくれ」
「え~、鑑賞も悪くないと思いまして~。あ、暑いなら脱がせますよ~」
「私がやる、ミョルニルを返せ」
「えぇ~恥ずかしいよ~、間接握手になっちゃうじゃな~い。えっち~」
「大した事ではなかろう、そんなもので恥ずかしがるやつは初めて見る」
飲み終わったお茶が入っていた陶器を置いて、残りひとつの鎖を断ち切る。
自由になったのは良いが、全身に力が入らず座ることしか出来ない。
「さあ運ぶんだミドガル」
「足持った方がお好みか~、脇の下持った方がお好みか~、私が抱き抱えるのどれがお好み~?」
「嫌がらせだなここまで来ると、三つ目だ早く運べ」
「んも~、本当に私の事が好きですね~。相思相愛、運命共同体~」
唯一痛くない選択肢を選んで牢から出ると、巨大な塔がいくつも立っていて、その中心に塔よりも大きな城がそびえ立っていた。
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