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レーヴァテイン
ぺたぺたとのろのろ走るヨルムは、すぐに息を切らして私を地面に下ろす。
「もう駄目~」
「その駄肉を落としたら少しは楽になるやもしれぬな」
「大きいのは成長したからです~、これでもお腹はすごく細いんです~」
「重いのには変わりなかろう」
ふう、と息を吐いて立ち上がったミドガルは、私を置いて先程よりも早いスピードで走り出す。
「待たぬかミドガル、私を置いて行くでない」
「んも~、乙女が傷付くことを言うからですよ~。じゃあ~、頼んで下さい。母なる龍ヨルムちゃん、このままベッドに運んでいって一緒に一夜を明かして……」
「ジャンヌが来てくれぬのか」
「残念ですがここでお別れですね~」
涙を拭う真似をして背を向けたミドガルは、抵抗出来ない私の頭を満足するまで撫でて歩いていく。
「お前たちそこで何をしている!」
巡回していたらしい兵士に見つかって、血相を変えて槍を構えながらこちらに走って来る。
だぼだぼの布を着せられている私は、明らかに脱獄犯だと判定されるが、鱗を綺麗な服にしているミドガルは、上手く言いくるめれば難なく逃れられる。
取り敢えず敵意が無い事を示す為に、仰向けになってじっと待つ。
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