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こんな劣等種如きに好き放題やられるのも気に食わないが、クライネの為なら仕方が無い、と言うより動けない。
「お前その服は捕虜の着るもの、こんな子どもが捕虜とは、余程の事をやらかした危険なやつなんだろ」
やっぱりミドガルよりこちらに来た兵士は、殆どひとりごとのようなことを言って、死体のように反応しない私を槍の尻で突っつく。
今すぐ燃やしてやりたいという衝動を抑えて、より高度な死体のフリを心掛ける。
「あの~、その子捕虜じゃなくて~。私の奴隷なんです~」
戻って来てくれたミドガルに服を掴まれて、まるでボールの様に小脇に抱えられる。
「これは失礼致しました、麗しき麗人」
敬礼して鼻の下を伸ばした兵士は、にやにやしながら巡回に戻っていった。
手をひらひらと振って何度も振り返りながら歩いて行く兵士を見送り、ミドガルは私を抱えたまま走り出す。
正直吐きそうになるので文句を言いたいが、先程とは明らかにスピードが違う真面目モードなので、容赦なく置いてかれそうなので我慢する。
「待たぬか捕虜とその仲間よ、逃げ切れると思っておるのか」
「正直馬鹿ばっかりなので割と思ってました~、戴冠式の途中なのに騎士長様がこんな所に居るんですもの~」
「ああ言う場は儂には合わん、それ故警備に回らせてもらった」
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