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美しい夢の終わり
謎の騎士に敗北してから、どれ程の時が経ったか分からない。
薄暗い牢に拘束されてから、ずっと同じ景色ばかりを見ている。
薄暗いからか視界からは色が消えて、全てが灰色に見える。
腕を動かすと、ジャラジャラと鎖の揺れる音がする。
その音を聞いて看守が槍を私に向けて、目を細めて暗い中微かに映る私の顔を確認する。
どうやら人の姿になっているらしく、それ程恐怖心を煽らないらしい。
私が大人しいのを確認すると、看守は私に背を向けて歩いていく。
その看守と挨拶を交わして歩いて来た看守は、前の看守と同じ様に牢に背を向けて立つ。
突然くるりと回転すると、牢の鍵を殴って壊す。
「アイネちゃ~ん、助けに来たよ~」
にこにこしながら牢に入ってくるミドガルは、何故か丁寧に牢の扉を閉める。
「その声はミドガルか、すまない助かる」
「ここの監視ゆるゆるなのね~」
「おぬしの頭みたいにな」
「助けに来てあげたのに酷いよ~」
そう言いながらミョルニルを手の中に落としたヨルムは、大きく振りかぶって振り下ろす。
ひとつひとつが私の体よりも太い鎖が、容易く断ち切られて片腕が開放される。
「まず足からしてくれぬか、このまま行くと顔から行くであろう」
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