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「よし。じゃあはいろ!」
手を引かれてまた海に入る。
さっきよりは抵抗なく入れた。
ちょっとずつ深くなるのがなんとも変な感じがして、水の抵抗がやばいってこういうことかと納得。
急にばふ、と被せられた浮き輪に手を付いた。
「……うかぶ」
「浮かばないと困るよ」
足が地面につかない。
心細さなどを感じて浮き輪を持つ手に力が入る。
怖いんだけどこんなのを輝かんばかりの笑顔でやってたのか、同級生。
「あ、あの。どこまですすむんですか?」
「まだそんなに離れてないよ。でもそうだね。まあ浮いてるといえば浮いてるしいっか。この辺でぷかぷかしよー」
もっと奥は慣れてからでは! 非難がましい気持ちが湧き上がってくるがまあ止まってくれたので良しとする。
そういえば着たままだったパーカーはすでにびちょ濡れだがまあ今更だ。
「如月くんは泳げるんですか?」
「まー人並みにはね。でもおれは浮いてるほうが好き、泳ぐと疲れるし」
浮いてるほうが好き。
「それになんか水の上でのんびり空見上げてるのってなんか最高に堕落して過ごしてるって感じしない? おれは好きなんだー」
だ、だらく。
「やっぱ夏は暑いし海がいいよなあ」
ご、ご満悦そうなのでいいとしよう。
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