第4章「さがしもの」

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なんとなく落ち着かなかった海の時間も日が翳ってきたことで終わりを告げ、砂浜に戻ると城が建っていた。 「……作ったんですか?」 「ん! たっきー、とーいっしょ!」 「はぁ……器用なんですね」 砂の山ぐらいしか作れなかったんだけど何したらこうなるんだ? 「参考画像あれば余裕だろこんなの」 「てれ、た?」 「君は好意的にしか解釈できないの?」 「は、はやくちー」 「!」 「わりと、手玉に取られてるんだね」 「うるさいな!」 ……、今度は、怒ってる割には怖くない、な。 滝沢くんめちゃくちゃに分かりづらいんだが、光くんは分かっていそうだし難しかったら聞こう。 「っくしゅ」 風が冷たい。 なるほど、プールサイドのほうが寒いとか言ってたのこういうことか。パーカー着ちゃったのやっぱ駄目だったかも。他に上着ないし。 「……あぁ、はやく着替えよっか。風邪引くね」 適当に投げてよこされたタオルをぎりぎり受け取る。 「さむい?」 「え、あ……すこし」 「ぬれ……てる、うえ。ぬぐ!」 「……えぇっと。それは……」 不幸自慢。 何が自慢なのかは分からないけれど眉をひそめられたことは事実。良くない行為なのだろう。 光くんは何かあると手当をしてくれたし、わざわざ嫌な思いさせることもない。 「ま、ま。さっさと着替えちゃえばいーじゃん。着替えるとこいこー」 如月くんナイスタイミングである。光くんは不思議そうな顔をしながらもこくりと頷いて、俺の手を取ってぐいぐいと進んでいく。 ……いまいちこのひとのペースはつかめない。 これでも、その場限りとはいえ人に合わせるのは得意な方だと思うんだが。
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