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失敗したのか?
今までテレビ見たことないとか言っても皆あぁ、と頷くか笑うかの二択だったのに。
「いや、今時は珍しくはないよ。まあ、テレビ見ることが減ったし……」
そういっても違和感があるといった様子で、やはり何かがおかしいようだった。
そんなにおかしいことならせめてそういう反応返してくれれば多少なりとも踏み台になってくれたのに使えない。
中学以前関わった人間は基本、それ以降のための布石でしかない。
どんな失敗しようとこれ以後関わりのない赤の他人だったのに。
……、あれ?
「……望月クン?」
俺、失敗したくないのか。このひとに。
高校だって人間関係なんて大して必要はない。
周りの常識とすり合わせるために表面上はいるけど。
必要なのは、妹を独り立ちさせるための金だけで、なら教師とバイト先の人間にでもいい顔してればよかったのに。
そうだ、この旅行だって。
誘われて、嬉しくて。
必要、ないのに。
「きさらぎ、くん」
「は、はぁい?」
「必要もないのに、どうしてなくなるのが怖いんでしょうか」
一瞬浮かんだ、怒らせてしまった彼の顔を打ち消す。
そんなの、……こんな望みは、不相応だ。
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