第0章「きらい、きらい。」

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そんな碌でもない育ち方をして、中学校で、ふと思った。 このままあの女の支配圏にいていいのだろうか、と。 妹を守るためには、あの女から引き剥がす必要がある。 俺が就職してからでいいのか。あの劣悪な環境から一刻も早く逃すべきではないのか。 妹とも話し合いを重ね、俺は全寮制の学校でバイトをし、妹が高校に上がり次第アパートを借りるなり高校の寮に入るなりするという結論を出した。 あの女が2人とも手離すことに賛成するわけがないから本来なら不可能だったが、まあ多少の罪悪感を覚えているらしい父だった男が支援してくれるらしいので存分に甘える。 妹のこともありあまり遠くなく、また母の納得する偏差値の全寮制の高校は男子校しかなかった。 まあ、それは、我慢する。どうせ両方いても嫌だし。 ちなみに、偏差値も学費も無駄に高い金持ち(ぼんぼん)が通う高校。でも特待もぎ取ったのであの女は理由も知らずに笑顔で送り出した。正直学費だけだと思っていたがきちんと生活費も送ってくれるらしくありがたくもらって切り詰めて懐へ。 貧乏クセェとかよく言われるが気にしてられない。 金持ちどもの気持ちなど知るか。 なめんな庶民。 それに庶民でもにっこり笑っていれば付き合ってくれるやつはいるのでつまはじきには合ってないし。 気持ち悪いしやっぱりやつのことはめちゃくちゃ嫌いだが表面の取り繕いを教えてくれた一点で感謝してる。 毎日毎日バイトづくめで、クラスメイトとの交流は最低限。 金銭感覚に気を遣って遊びに誘ってくるやつもいないしめちゃくちゃ楽だ。
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