02,一方通行【ジョバイロ/ポルノグラフィティ】

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怖い、悲しい、苦しい、辛い、届かない。そんな言葉しか浮かばない中で、どんな作品を作ることが出来るのだろうか。むしろ、そんな中で生まれた作品を、誰が好んで手に取るのだろう。 「やっぱり思い浮かばないや」 藍がそう言って席を立つと、先生!と編集者が断末魔をあげた。何か金切り声で叫ぶ編集者を無視して部屋を出る。廊下を抜けて玄関を出ると、心地いい風が頬を撫でた。 その風が優しい分、一方通行の想いだけが黒く心の中に沈んで、藍の目からは気づかぬ間に涙がこぼれていた。 誰かこの想いを、綺麗さっぱりと摘み取ってはくれないだろうか。激しく芽吹きだす前に。 一番摘み取って欲しい人物の顔を思い浮かべて、やはり叶わぬ恋だった、と藍は嗚咽を漏らしてしゃがみこんだ。
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