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彼女は、いわゆるいい女だった。そして常々『自分は都合のいい女でいいの』といっていた。
可愛らしさを残しつつ、艶やかな表情で誘うような仕草もしてみれば、さばさばと男っぽい一面もありつつ、しかし女の匂いは漂わせている。なんとも掴みようのない不思議な女で、やはりいい女、という形容が一番似合っていた。
治樹は、彼女の体にも溺れた。吸い付くように滑らかで白い肌、その匂い、彼女の体のシルエット。
だが、どこかで自分に歯止めを利かせていた。彼女にのめり込まないように、なんとか自分を保っていた。
それは、治樹にすでに、妻も子供もいたからだった。
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