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そんな治樹の気持ちのセーブに、彼女は薄々気づいていたのだろう。
時折、彼女はふと『私のこと、まだ好き?』と確認するように言った。それは、都合のいい女でいいの、という彼女の言葉とは裏腹に、治樹に気持ちを向けているような、そんな言葉だった。
治樹はそれにああ、とは答えようとも、好きだとか、愛しているだとか、ありきたりな愛の言葉を返すことは無かった。それでも彼女は満足そうに微笑んで『そう。それならいいの』そう言って、何かを確かめるように治樹の腕にすっぽりと細い体をおさめたのだった。
だからこそ、この結末になんとなく納得がいったのも事実だった。
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