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「私に今、恋愛ものって書けるかな」
「は?」
担当編集者が思わず漏らしたその返答に藍は苦笑する。
「先生、お願いですから真面目に」
「うん。でもね」
「分かりました。次は恋愛ものにしますから。というか、恋愛を絡めてもいい、という内容にしますから」
ホラー小説作家が突然恋愛ものを書きたい、というのは、なかなかのハードルであったらしい、と藍はため息をついた。
といって、恐らく今の藍にかけるものは、彼への溢れんばかりの一方通行の想いをひたすらに綴った、ひどく自己中心的な内容のものだろう。
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